第十一話「ホリデイ」

激流に呑み込まれるかのように目まぐるしく動く運命の只中にいるゴネンジャー。たまには、何処かに出掛けて気分転換をしようという話になる。

しかし、八左ヱ門は動物園、兵助は図書館、勘右衛門は遊園地と意見がバラバラになってしまう。(雷蔵は迷ってしまって無回答)
割れてしまったものは仕方が無いので、彼らは一日で動物園、図書館、遊園地の全てに行くことにする。

あまりのハードスケジュールに、日が暮れる頃にはへとへとになってしまった四人。もう、一歩も歩けない。
間の悪いことに、そんな状態でユキとトモミ、そして邪忍衆からの襲撃を受けてしまう。
しかし、疲労のせいで満足に戦うことが出来ない。このまま敗北してしまうのか……と思われたそのとき、彼らの通う高校の教師である山田先生、それと、その息子である利吉さんが通りかかる。

「やだイケメン!!」

ユキとトモミの感心は一気に利吉さんの方に向き、その隙をついてゴネジャーは一点集中で攻撃、どうにかその場を凌いだのであった。

「結局、イケメンが一番強いってことなんじゃ……」

勘右衛門の呟きは、夕陽に吸い込まれ儚く溶けた。
大丈夫、きみたちだってちゃんとかっこいいぞ、ゴネンジャー!

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第十二話「兵助と美少女」

タカの経営する美容院に足を運んだ兵助。タカ自らがハサミを振るってくれるというので、スタイルは彼に任せることにした。雑誌を読みながら、うとうとする兵助。

「出来たよ!!」

うれしそうなタカの声に、兵助は目を覚ました。そして鏡を見る。
そこには、明るい金色でアシメントリーな……すなわちタカとまったく同じ髪型をした兵助がいた。

「いや、これはマズイよ! 学校行けないって!」

校則違反ぶっちぎりな髪型に愕然とする兵助だが、タカは「それじゃあ、他のお客さんの指名があるから!」と言って、何処かに行ってしまった。途方に暮れた兵助は仕方なく店を出るが、五歩目で生活指導の木下先生に見つかり、死ぬほど説教をされてしまう。そして罰として、反省文を書くことになった。

放課後の教室にて、反省文を書く兵助。そんな彼の前に、ひとりのうつくしい女子生徒が現われた。

「あの、久々知くん……。わたし、ずっとあなたのことが好きでした……!」

美少女からの突然の告白に兵助は胸を躍らせる……ことは一切無く、至極冷静にこう言い放ったのだった。

「お前、卍の手の者だな」

その言葉を受け、少女は一瞬の沈黙ののち、不敵に微笑んだ。そして彼女は自分が「卍」の女帝、シナであることを明かす。そう、ラスボスが単身乗り込んできたのである!
強大な悪の気配に、八左ヱ門、雷蔵、勘右衛門もその場に駆けつける。

「ゴネンジャー・ロンサール……わたしの変装を見抜くとは、なかなかうやるじゃない。見くびっていたわ」

感心したように言うシナ。兵助は無言であったが、実は彼女の変装を見抜いたというよりは、ユキとトモミにブサメン扱いされたことにより、軽めの女性不信に陥っただけであった。

「ちょっとからかってあげるつもりで来たけれど、失敗したからわたしは帰るわ」

そう言ってシナは大量の邪忍衆を呼び寄せ、ゴネンジャーがそれらと戦っている間に、忽然と姿を消してしまったのだった。

今まで対峙したどんな敵よりも大きな力を感じさせた、シナ。
しかし、いつかは対決の日が来るのである。そのときまで、駆け抜けろ、ゴネンジャー!

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第十三話「八左ヱ門の叫び」

なんと、雷蔵と兵助、そして勘右衛門がいっぺんに風邪を引いて寝込んでしまった!
原因は前日の大雨にあった。激しく降りしきる雨にテンションが上がってしまったゴネンジャーは、傘もささずに大はしゃぎしたのだった。
それで、三人はあえなく熱でダウン。しかし、人一倍身体の丈夫な八左ヱ門は、ひとりだけ元気であった。

「何だよ情けねえな、ヒーローのくせに!」

仲間たちが意外と軟弱であったことを嘆く八左ヱ門。しかし実際は、彼が規格外なだけである。

そして、もし、この状態で敵襲を受けたら、八左ヱ門はひとりで戦わなくてはならない。それは流石に無茶振りである。
そう思って不安になる彼の前に、タキ、ミキ、アヤ、タカのサポート妖精が全員一気に現われた。普段は一切現われない妖精たちが勢揃いし、あまりのレアさに言葉を失う八左ヱ門。それは言うなれば、はぐれメタルとメタルキングがいっぺんに現われ、更に仲間を呼びまくった、みたいなものである。
しかも妖精たちは、今日は全員で八左ヱ門をサポートしてくれると言う。

最初はそんな彼らを心強く思っていた八左ヱ門だったが、すぐにその考えを撤回することになる。
なんせ妖精たちは協調性がなかった。タキとミキはつまらないことで張り合って喧嘩をし、アヤはすぐフラフラと何処かに行こうとし、タカは隙あらば八左ヱ門の髪をブローしようとする。

敵の襲撃を受けても妖精たちは何処までもマイペースに振る舞い、八左ヱ門は敵と戦うことよりも妖精たちをまとめることに苦労したのだった。

今まで自分を支えてくれた仲間たちが如何に素晴らしかったかを再認識した八左ヱ門は、戦いが終わってすぐに、病床の仲間たちを見舞い、看病し、彼らの早期回復に努めたのであった。

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第十四話「きみはぼく?(前編)」

雷蔵が自分の部屋に帰ったら、何故かそこには、自分と全く同じ顔をした少年がいた!

「き、きみは誰?」

戸惑う雷蔵だったが、その少年は嬉しそうに雷蔵に抱きついた。

「やあ雷蔵! おれは三郎だよ! おれはきみの……きみを……。あれっ、何だっけ?」

……なんと、三郎と名乗る彼は、記憶喪失だという。しかも何故か雷蔵に好意を寄せているようで、彼にくっついて離れない。
どうやら悪い奴ではなさそうだが、如何せん得体が知れない。

とりあえず雷蔵は三郎を、八左ヱ門、兵助、勘右衛門に会わせるが、彼ら全員の意見は「怪しい」であった。
突然雷蔵の目の前に現われたのが怪しい。雷蔵と同じ顔なのも怪しい。更に記憶喪失だなんて究極に怪しい。

全力で胡散臭がる八左ヱ門、兵助、勘右衛門だったが、三郎はそんなことはお構いなしに雷蔵にまとわりついてあれこれ世話を焼く。

そして、そこに敵襲が。
雷蔵は三郎に、避難するように指示するが、三郎はサクッとそれをスルーし、なんとゴネンジャー・フォーゲット・ミー・ノットに変身し、ひとりで敵を倒してしまった!

「五人目のゴネンジャー……!?」

当惑するゴネンジャー。
彼は一体、何者なのか……!

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第十五話「きみはぼく?(後編)」

突如として現われた五人目の戦士、鉢屋三郎。
サポート妖精たちも、彼のことは知らないという。ますます色濃くなってゆく謎。

何故変身出来るのか、何故雷蔵と同じ顔をしているのか。そして何故、雷蔵の部屋に現われたのか。
三郎に聞いてみても、答えはすべて「覚えてない」であった。しかし何故か雷蔵とは意気投合したようで、まだ会って間もないのに彼らはまるで兄弟のようだった。三郎に対し不審な気持ちを抱いているゴネンジャーの中でも、雷蔵だけは「三郎は悪い奴じゃないよ」と主張していた。

そんな中、三郎は、戦闘中、雷蔵が攻撃を受けそうになったところを身を挺してかばい、怪我をしてしまう。
それを見て八左ヱ門は「こいつ、良い奴だ!」と感動するが、兵助と勘右衛門はまだ半信半疑であった。

確かに、雷蔵のことは助けた。しかし彼が大事にしているのは雷蔵だけであって、他のことには興味がないのではないか。

兵助と勘右衛門は、そのように感じでいたのである。
実際、三郎は邪忍衆やら正義やらのことはどうでも良いようで、雷蔵が戦うから自分も戦う……という姿勢に見えた。

だがその後、ふたたび敵に襲われた際、三郎は兵助と勘右衛門のことも助けてくれたのだった!

「あ……やっぱこいつ、良い奴かも……」

ということで、何だかんだ単純な彼らは、三郎を新しい仲間として受け入れることにしたのであった! いやあ、良かった良かった!
やっぱ仲間は多い方が良いよね!!
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