第六話「世の中所詮、顔なのか」

心が折れてしまったゴネンジャーたち。
特に、自分は若干イケていると思っていた、兵助のダメージが深刻であった。

彼らは妖精タカから、シナは謎の存在で、様々な顔を持つために誰も本当の姿を知らないこと、新左ヱ門は闇を常に食べていないと飢えて動けなくなってしまうことを教えて貰う。
それと、ついでに「SALON SAITOH」のカット10%オフクーポンも貰う。それはおれたちの髪型がイケてないってことなのか、と更にへこむゴネンジャー。

どうにも立ち直れないゴネンジャーは、雷蔵の提案で、学校一のイケメンである立花先輩に相談しに行くことにした。
どうやったら、女の子に蔑まれないイケメンになれますか、と。

すると立花先輩はかるくわらって、彼らに様々な課題を出した。
主にそれは、立花先輩のためのお遣いであった。世間ではそれを「パシリ」と言い、彼らもヤキソバパンやらコーヒーやらを買いに走りながらそのことに薄々気付いていたのだが、相手は先輩であるし特に立花先輩は相当こわいので言い返すことが出来なかった。

イケメンにはなれなかったが、立花先輩のパシリ&イビリのお陰で心は強くなった八左ヱ門、雷蔵、兵助の三人。そこに再び、ユキとトモミが現われる。一般人である立花先輩を巻き込んでしまう、と焦るゴネンジャーであったが、それは杞憂であった。

「やっばい何このひとめっちゃかっこいい!!!!」

立花先輩は、ユキとトモミのドストライクであったのだ。
ゴネンジャーを見るときは、そば殻でも見るような目つきであったのに、立花先輩には瞳をきらきらさせて黄色い声をあげるユキとトモミ。
ゴネンジャーはぽかんと口を開けて、それを見守るしかなかった。

「きみたち、今日はもう遅いから帰りたまえ」

立花先輩がそう言うと、ユキとトモミはあっさり帰ってしまった。
あれっこの人、おれたちより強いんじゃ……なんて思いが心をよぎりつつも、ゴネンジャーは明日に向かって邁進するのであった。

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第七話「十六年目のゴネンジャー!」

ユキ&トモミという強敵の出現、更にまだ敵には戸部新左ヱ門という隠し兵器が存在するという事実に、著しく士気が下がるゴネンジャー。
どうにかして戦力アップをはかれないかと頭を悩ませているところに、妖精アヤから連絡が入る。

なんと、八左ヱ門、雷蔵、兵助以外にも正義の力を授かったゴネンジャーが存在するというのである。
しかもその戦士は地球の危機に備えて十六年間コールドスリープしており、本日、彼がいよいよ目覚める日だという。

四人目の戦士を起こすために、学校の屋上に向かう三人。
SFチックなカプセルの中で寝ている屈強な戦士を想像していた彼らだったが、実際はふつうに布団で寝こけているふっつうの少年であった。驚きの拍子抜け。

「で、どうやったら起きるの、こいつ」
「横っ面をはたいたら起きます」

「はたいたら起き」くらいのところでもう眠れる戦士の横っ面をはたいていたのは雷蔵だった。
あれっ意外とこの人こわい、と八左ヱ門と兵助が若干ゾクッとしたところで、いよいよ四人目の戦士が目を覚ました!

その名も、ゴネンジャー・ロンサールこと尾浜勘右衛門! 新しい仲間の登場である。

見た目はあまり強そうでない彼であったが、勘右衛門には他のゴネンジャーにはないものを持っていた。

それは必殺技である。

八左ヱ門たちは未だに、己の拳ひとつで戦っていたが勘右衛門は違った。「ローリング・ウドン」という、麺属性の広範囲攻撃技を備えているのである。

ローリング・ウドンで瞬く間に敵を蹴散らす勘右衛門を見て、八左ヱ門たちは確かな戦力アップを実感したのであった。

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第八話「十六年間の空白がもたらしたもの」

心強い仲間である、勘右衛門。
しかし彼は十六年間眠りについていてその間の知識が無いため、2010年の世界を目の当たりにし、大きな衝撃を受ける。

イチローがメジャーで活躍している。(十六年前はオリックス在籍)
セガサターンの発売を楽しみにしていたのに、すでに生産終了になっている。
TOKIOのリーダーが四十路に。

全てがショッキングであった。
中でも取り分け驚いたのが、携帯電話の普及と発達である。連絡用に勘右衛門も一台携帯電話を持つのだが、音楽が聴けたりテレビが視聴出来たり、もう何が何だか分からない。
ワンセグに感動した勘右衛門がテレビ番組をぼーっと見ていたら、瞬く間に電池が切れてしまった。

勘右衛門は地元の人間ではない為、土地勘がまだ無い。
慌てて仲間たちと連絡を取ろうとするが、公衆電話が全く見当たらない。十六年前にはあんなに沢山あったのに。

こうして、敢えなく勘右衛門は迷子になってしまった。
帰り道が分からなくてガチ半泣きになる、十六年目の戦士。
平成という名の砂漠にひとり取り残された勘右衛門を救ったのは、たまたまその場を通りかかった兵助であった。
救いの手に、いたく感動する勘右衛門。そこに敵が現われるが、フルテンションのローリング・ウドンで一蹴する。

勘右衛門はこの件が若干トラウマとなり、携帯電話を毛嫌いするようになった。
そして兵助はこっそりと、自分も必殺技が欲しい……と思うようになったのだった。

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第九話「おれがあいつで あいつが……」

熱くなりすぎて、周りが見えなくなり失敗してしまうことの多い八左ヱ門。
慎重にいこうとする余り、大事なところで決断の出来ない雷蔵。
ふたりはこっそりと、お互いのことを羨んでいた。

雷蔵は八左ヱ門のように大胆な性格になりたかったし、八左ヱ門は雷蔵のように周りに気を配ることの出来る性格になりたかった。
しかし何となく気恥ずかしくて、そのことが口に出せないふたり。

そこで彼らは、お互いの真似を始める。しかし飽くまで誰にも何も言わずこっそりとおこなった為に、雷蔵は「雷蔵の真似をしようとしている八左ヱ門の真似」を、八左ヱ門は「八左ヱ門の真似をしようとしている雷蔵の真似」をしようとしているわけで、何だかよく分からないことになってしまう。

何やら分からん内に、ゴネンジャーは敵の襲撃を受ける。
ここでも雷蔵と八左ヱ門はお互いの真似をして、頭をごちんとぶつけたり足を引っ掛けあったりと、何かと迷走してしまう。

「何やってんだよ雷蔵!」

噛み合わない行動に、苛つく八左ヱ門。そこで雷蔵は、「実はぼくは、お前のようになりたくて……」と、胸の内を吐露する。
「なっ、お前も同じことを考えてたのか!」と、八左ヱ門も自分の思いを口に出し、彼らは朗らかに笑い合う。そして、「人の真似では駄目だ。自分のやるべきことを、しっかりやらなくては!」という真理に到達する。

なんやかんや喋ってる間は行儀良く待っていてくれていた敵と向き合い、八左ヱ門と雷蔵は息の合ったタコ殴りで、敵たちを見事殲滅したのであった。

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第十話「謎の剣士・灰州井溝」

みたび、ユキとトモミがゴネンジャーたちの前に現われる。

しかし、彼はもう以前までの彼らではない。
仲間が増えた。心も強くなった。最終手段として、立花先輩の連絡先も手中に収めた。死角は全てクリアした。

激闘を繰り広げる、ユキ&トモミとゴネンジャーの四人。
そこに、きらめく日本刀を携えた謎の男が割り込んでくる。

「戸部は何処だ……」

そう呟く彼は、華麗な剣さばきでユキとトモミを撃退する。
この男も正義の味方だろうか、と彼に駆け寄る四人であったが、峰打ちでボッコボコにしばかれてしまう。

あの男は一体何者なのか。敵なのか、味方なのか……

部室で怪我の手当てをしながら、話し合う四人。
勘右衛門が、眠りにつく前の記憶を手繰り、あることを思い出した。

かつて、正義の心を持っていた頃の戸部新左ヱ門のライバルだった、灰州井溝という名の剣士がいた。
灰州は悪でもなく正義でもなく、純粋に剣技のみを磨く男であったのだ。
十六年前、灰州と戸部は三日三晩にもわたるかつてない死闘を演じ、僅かな差で戸部が勝利を収めた。そんな激闘の後で消耗しきったところを「卍」の女帝であるシナに狙われ、戸部は闇に染められてしまった。

戸部が卍に敗れた後、灰州は行方不明になっていた。そんな彼が、ふたたび姿を現わした……。

自分たちを取り巻く環境が大きく動いていることを実感し、神妙な心持ちになるゴネンジャーの面々であった。

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