■因果応報■
「……っ……」
薄暗い部屋で、ぼくは息を詰める。耳の後ろを汗が流れ落ちてゆく。その雫が首筋を滑って、ぞくぞくした。微かに聞こえる水音が、頭の中を重く揺さぶる。
「…………」
三郎の顔はよく見えない。彼の指先がぼくのものを刺激する度に、ぼくの腰は浮き上がりそうになってしまう。ぼくは、痺れる指先を必死に動かし、手の中にある熱い塊を悦ばせようとする。
何故こんなことをしているのか、自分でもよく分からなかった。お互いを慰め合おうだなんて、どちらが言い出したのだろう。それも思い出せない。新たな汗が額を伝う。ああ、だんだん辛くなってきた。
「……きつい?」
どうしてそんなことが分かるのだろう。三郎が、耳元で囁いてきた。ここで素直に認めるのは悔しい。ぼくは「いいや」と強がりを言った。
「そう?」
三郎の笑う気配がする。そういう自分だって、がちがちになっている癖に。なんて生意気な男だろう。もっと強くしてやろうと思ったら、先を越された。三郎の手が容赦無く動いて、激しくぼくを責め立てる。
「……はっ……ぁ、あ……っ」
ぼくは上擦った声をあげ、思わず腰を引こうとした。しかし三郎は左腕を伸ばし、ぼくを抱き寄せるみたいにして更に距離を縮めてきた。
「待っ……あっ……や」
あまりの快感に、視界がぶわりと滲んだ。自分が涙ぐんでいることに気が付いて、ぼくは信じられなくなった。三郎に気取られるわけにはいかない。ぼくは慌ててうつむいた。ぐちゃぐちゃという音がだんだん大きくなる。やばい。本当に、やばい。
「待てって!!」
ぼくは三郎の一物を、思い切り握り締めた。三郎の口から、ぎゃあ、とも、ぐええ、ともつかない奇妙な悲鳴が上がり、彼はぼくのものから手を離した。
「……はぁ、はあ……」
ぼくは大きく息を吐き出した。額から流れた汗が目に入り、そこに溜まっていた涙と混じる。危なかった。気をやってしまうところだった。
「……雷蔵、きみなあ……!」
三郎が、潤んだ目でこちらを睨んできた。気配で分かった。物凄く、怒っている。
「え、あ、ごめんよ三郎。つい……」
愛想笑いを浮かべて謝ってみたが、三郎は「つい、じゃないよ!」と言ってぼくの肩を押した。ごろん、とぼくの身体は後ろに倒れてしまう。
「さ、三郎?」
起き上がろうとしたところに、三郎の身体がのしかかってくる。あ、これは本当にやばいかもしれない、と思った。
はいジャスト30分!
三郎が酷い目に遭ってますが、この後、雷蔵が酷い目に遭うのでしょう。くわばらくわばら。
こっからが本番じゃん、と思わなくも無いですが、リクは「さわりっこ」ですので、とりあえずお題はクリアしてるってことでひとつ。
すごく天気の良い日曜日、外で若者たちがはしゃいでいる声を聞きながら書きましたが、悲しくなんか無かったです!
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