■夜を呼ぶ■
すまない、とかそういうことを囁かれたような気がする。
自分は恐怖とか快楽とかそういうものより何よりも困惑が大きくて、闇に向かって手を伸ばして、此処には居ない誰かの名前を呼んだ。勿論返事は返って来ないし、その名を呼んだことで一層激しく身体を揺さぶられて、かぼそい悲鳴が口を突いた。
「い……っ」
ついで、首筋に噛みつかれて反射的に目を閉じた。先程から、あちこち噛まれて身体の至る所がひりひりと熱い。けものに襲われているようだと思った。そして自分は、このまま食い殺されてしまうのだ、とも。
「……金吾」
けものが耳元で囁く。おさない頃に何度も聞いた、しかし全く知らない声だった。自分は何も答えられない。体内で暴れる熱に気を失わないように、意識をつなぎ止めておくことで精一杯だ。
「は……っ、あ、ああ……っ」
ぬるついた手で先端に触れられる。やや乱暴に上下に擦られて、じりじりと悦楽が忍び寄ってくるのが分かった。きもちがいい。
そこで初めて恐怖を感じた。背筋がぞくぞくして、心臓がうねり始める。相手を押し返そうと、激しく手足を動かした。
「いや、だ……っ、あ、あ……っ」
しかし、けものの前にそんな抵抗は無意味だった。一層上から強く押さえつけられ、頬に噛みつかれる。
「あ、ああ、あっ、あっ」
身体の奥底を、内側からはげしく抉られる。泣いても叫んでも相手は容赦しない。
「あ、あ……、あ……!」
涙で、黒一色の視界がゆがんだ。ふたたび、闇に向かって手を伸ばす。しかしこの手を取って、此処から連れ出してくれる者は居ない。
「う、あ……っ」
一際深く突き上げられて、下半身に痺れが走った。夜気をかき混ぜる手に、けものが歯を立てる。
「……っ、あ……、戸部、先生……っ」
震える声でその名を呼ぶ。ぎり、とけものが奥歯を噛み締める気配がした。
わたしの都合で勝手に年齢操作ですみません、戸部金前提のこへ金です。
あんま年齢操作って感じがしないですが。金吾6年です。
昨日更新した兵伝がとっても消化不良だったので、今回は潔く一行目からエロで参りました。
見事にやってるだけですが……。
七松と噛み癖というのは、カレーに福神漬けくらいナチュラルなトッピングであると思う。
何かもう七松のセックスはきっとセックスというより交尾という感じだと思うので、金吾があんま気持ち良くなくてごめんなさいな感じです。
(おまえは七松を何だと……)
(でも、七松が超絶技巧の持ち主でもアリだと思う)
そんな感じで、久々のエロなので楽しく書きました。
ありがとうございました! 後書きなげえ!
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