■ぎゃふん■
尾浜勘右衛門と久々知兵助、それに竹谷八左ヱ門は食堂にて昼飯を食っていた。腹が減っていたので最初は黙々と飯を口に運んでいた彼らだったが、しばらくしてから唐突に勘右衛門がこんなことを言い出した。
「ああもう、ぎゃふんと言わせたい」
それを聞いて、すぐさま隣の席の兵助が「ぎゃふん!」と言った。それなりに大きな声だったので、彼の近くに座っていた下級生がびくりと頭を揺らした。勘右衛門は苦笑して首を横に振る。
「いや、兵助じゃなくてね」
「そんじゃ誰を?」
「鉢屋」
「何かあったの?」
味噌汁茶碗を盆に置き、八左ヱ門はにやにやしながら身を乗り出した。明らかに楽しんでいる顔だった。
「あいつ、今日の委員会すっぽかしたんだよ。茶菓子の買い出し当番だったのに」
「思いの外くだらなかった」
八左ヱ門は笑みを引っ込め、ふたたび味噌汁を手にした。しかし、勘右衛門は至って真面目である。
「重罪だよ」
「仕事しろよ学級委員長委員会。……まあでも、一回あいつをぎゃふんと言わせてみたい、というのはおれもあるな」
「だろ? でも、鉢屋だからさあ……」
「そうなんだよ。三郎だもんなあ……」
「でもおれたちには最強の味方がいるじゃないか」
兵助は言って、大きな目をぱちぱちさせた。それを受け、勘右衛門は
「それって雷蔵?」と首を傾げた。
「雷蔵使っちゃったら、簡単すぎんだろ」
分かってねえな、と続けて八左ヱ門は味噌汁をすすった。勘右衛門も深く頷いている。
「そうそう、達成感が無い」
「いつだったか忘れたけど、雷蔵が、冗談で……冗談でだぜ? 雷蔵の変装した三郎に、『その変装、あんまり似てないよねえ』って言ったんだよ。明らかに冗談って分かる口調で。なのに、ぎゃふんどころじゃ無かったからな」
「ああ、それはおれも覚えてるわ。鉢屋じゃない何かと化してたな、あれは」
「精神面弱すぎるだろ変装名人」
30分久々すぎて、また感覚を忘れてしまってえらい短い……!
雷蔵の言葉は刀より強いよね! 三郎限定で!
ぐだぐだ会話してる話って誰が何言ってるかを伝えるのが結構大変だったりするのですが、勘ちゃんは三郎のこと「鉢屋」って呼ぶのでとても有り難かったです。はい。
ぐだぐだ五年書くの大好きです!
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