〜経緯〜
武田さんがメールの最後に三郎視点のお話を書いて送ってくれた
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しかしそれは途中で終わっていた
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悲しみに打ちひしがれながら、きりんこが雷蔵視点で勝手に続きを書いて送った
そういう感じで、武田さんと合作のような。
前半が武田さん作、後半がきりんこ作です。
■そのラブまであと十五分■
(武田さん作)
ふいに沸き起こる胸騒ぎに叩き起こされるようにして、三郎は意識を取り戻した。
帰宅は夜半過ぎだったと言うのに、余程深く眠ったのか頭はすっきりしている。
かけた目覚ましより早く目覚めたにしては明るい、カーテンの隙間から差し込む光を見つめ、先程から収まらない動悸がさらにひとつ、大きく脈打った。
まさか、そんな、とベッドから転げ落ちるようにベランダへ駆け寄り遮光カーテンを大きく開く。それと共に部屋へ射し込んだ強い日差しと裏腹に、腹へ氷の塊を差し込んだように寒気が襲った。
どう見ても昼を過ぎた位置の太陽に、何も考えられない。
雷蔵との待ち合わせからは、どう贔屓目に見ても数時間が過ぎているだろう。
(きりんこ作)
改札から溢れだしてくる人波をぼんやり見つめ、雷蔵は小さく息を吐き出した。波が引いても、彼の待つ人物は現れなかった。もう、時計を見る気にもなれない。
映画に行こう、と誘ってきたのは三郎の方だった。なのに彼は来ない。待ち合わせ時間を20分過ぎた時点で雷蔵は三郎にメールを送った。電話もした。しかし無反応だ。珍しく、寝こけているらしい。
「……だから、無理するなって言ったのに」
ここのところ色々な用事が重なって、三郎は多忙な毎日を送っていた。貴重な休みくらい寝ていたら、と雷蔵が奨めたのに、三郎は、嫌だ嫌だ雷蔵とお出掛けする、と年甲斐もなく駄々をこねたのだ。
その結果が、これである。雷蔵はもう二時間以上も、この場所に立ち続けている。敢えて、三郎の家に向かったりしない。頑なに、この場所にいるのだ。
「どうしてやろうかなあ……」
雷蔵は頬をかいた。怒るのは簡単だ。怒鳴ったり殴ったり。蹴飛ばしてやったって良い。平謝りする三郎の姿が目に浮かぶ。それも良いけれど、分かりやすすぎて詰まらない気もする。もっと効果的なこらしめ方は無いだろうか。
……そうだ、抱き締めてやろう。めいっぱい。愛を込めて。三郎はきっと、何がなんだか分からない、という顔をするだろう。ぼくの愛に惑う鉢屋三郎。なかなか面白そうだ。
そのとき、ポケットの中で携帯が震えた。ようやくお目覚めらしい。 雷蔵は小さく微笑んだ。
さあ、走って来い、鉢屋三郎。 お前の愛する不破雷蔵が待っているぞ!
8月28日、鉢不破の日おめでとうございます!
一生愛にまみれて二人で生きてゆけばいいです鉢雷こんちくしょう
掲載許可下さった武田さん有難う!!
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